カーナビ取り付け&オーディオ換装(その1)
その2はこちら

2003年10月



 今まではカーナビに興味はありこそすれ、地図を見ながらの運転で充分満足していたし、自分の方向感覚には自信があるから道に迷うこともないし、たとえ迷ったとしても未知の土地での「野生のカン」が働いて、すぐに戻ることができていたので知らない風景を楽しむくらいの余裕があった。

 しかし、釣りやキャンプで郊外や山奥の細い道を走る時、地図に載っていない道に出くわして困ることが多くなった。山奥では道路標識も少なく、いま走っている道が正しい道なのか不安になるのだ。それに友人の車に乗せてもらった際に、自分の位置が常に把握できているというのはこんなにも安心なのかと強く感心してしまった。

 決定的だったのは、釣り仲間の車に乗せてもらって野池探しをした時だった。カーナビの地図には細かな池や川まで載っているため、釣りのフィールド探しに非常に役立つことを思い知らされた。

 それでカーナビはやっぱり必要だと決断した。

 カーナビがあっても、知らない道を判断する「野生のカン」は衰えないだろう。それよりも最近の自分の行動パターンからして、カーナビを使ったほうがメリットが多いと思った。

 まずはカーナビの取り付け方法について調べはじめた。自分の車にカーナビを取り付けることが可能かどうか、方法によっては機種が絞られるし、自分で取り付けができるなら予算的な余裕が生まれる。

 問題となるのは車速パルスの有無と、DIYで信号が取れるかどうか。そして本体とモニターの設置場所と方法。

 「ひろすけさんの掲示板」などから車速パルスについては問題ないことが分かった。車速パルスの取り出し場所は前もってSONYのフィッティングページで調査済み。

 本体とモニターの設置場所については同型車に乗る先達の方々も苦労されているようだった。

 通常、カーナビ本体は助手席シート下に設置するのだが、この車にはスペースがなくて設置できない。またトランクルームの床に固定する方法もあるのだが、せっかくのワゴンの荷室にカーナビ本体を置いたら他の荷物の邪魔になるし、車中泊の際に不都合極まりない(後部座席から荷室にかけてフラットにして寝ているため)。

 あとは、荷室のカーペット下にあるスペアタイヤの空きスペースに設置する方法もあった。しかしタイヤ上の板に吊るす固定方法になるため振動の影響を受けやすく、また風通しの悪い場所なので高温多湿にさらされてしまう可能性が高く、ここも避けたかった。

 有名なカーナビ取り付け専門の業者「インターネットDEナビ男くん」に質問メールを投げてみた。数多くの取り付け経験からなにか有効な策を持っているかもと思ったからだ。上記の理由から他に設置場所があるかという質問に対する返答は「トランクルームに設置することを勧める」というものだった。それはイヤだから困っているのに…。

 もうひとつの問題。モニターの設置場所をどうするか。1DINのオーディオスペースは割と下のほうにあるため、目線が下がって運転に支障をきたすのが確実なので、ここからモニターが出てくるインダッシュモニタータイプは却下。ダッシュボードの上に固定するオンダッシュモニタータイプにするしかない。

 だが、この車のダッシュボードは微妙なカーブのあるデザインになっていて、ダッシュボード上に両面テープで貼り付けるとしたらかなり奥の方に設置することになってしまう。それでは見にくいし、モニターにあるボタンの操作もしにくい。

 あちこちのWebで取り付け事例を見たが、これだっ!という参考例には出会えなかった。

 とりあえず、本体とモニターの設置場所が決まらないまま、機種選びに移った。

 2ちゃんねるをはじめとするあちこちの掲示板やカーナビ情報のWebを渡り歩いた結果、アルパインのDVDナビの評判がいいことに気がついた。しかし値段が高いため、1年半ほど前に発売された廉価版のDVDナビが候補に上がった。アルパイン「NV7-N099SS」。このページのインプレッションが決め手だった。
 『らくなび大辞典アルパインNV7-N099SSのすべて

 しかし、現在ではほとんどの店で「在庫なし」になっており、ごくたまに在庫表示があった店は値段が安くなかった。しばらく通販サイトを探し、在庫確認のメールを出しまくったが進展しないのでこの機種は諦めることにした。

 「NV7-N099SS」の長所は、廉価版ナビでありながら渋滞回避能力の高さやルート検索の速さ、モニターが大き過ぎず黒いことだった。渋滞回避能力やルート検索の速さは使ってみないことには分からないし、最近発売になった機種ならCPU処理スピードが上がっていれば今では長所になっていないかもしれない。

 すると残るのは、値段の安さとモニターが大き過ぎず黒いこと。この条件で出てきたのはソニーの「NVX-G6500/B」。定価は\158,000だが、価格comなどに載っている格安通販店なら\100,000を切る値段で購入できそうだった。実売価格の割引率が高くないといわれるソニーにしては珍しく安くなっている。それも発売からそれほど日にちが経っていないのに。

DVDカーナビ:SONY NVX-G6500/B

 今回の予算総額を\150,000と想定していたため、ついでにVICS光電波ビーコンも購入することにした。ビーコンがあると都内の渋滞回避に有効らしい。

ビーコン:SONY NVA-VB4

 ちなみに、ソニーはカーナビ業界での人気がイマイチのようだが、この際それは無視することにした。この機種は発売間もないので地図データが新しいはずで、さらに定評のあるゼンリンの地図データを使っている点も、選択基準でプラス要因だった。

 また最近、MDレシーバーの調子が悪く、そろそろ買い替えかなと思っていたのでオーディオも検討した。もともとYahoo!オークションで入手した中古品であったためか、稼動環境が悪かったのか、MDメディアを入れても認識しないことが多くなってきた。ピックアップレンズを交換すれば直る症状のようだが、この修理だけでも1万数千円するらしいので、買い換えることにした。

 オーディオは前から気になっていた機種があった。1DINなのにMDとCDがフタなしで挿入できる。パネルの色が黒く照明色がオレンジなので、この車に合いそうなデザイン。値段もそれほど高くない。音質にはこだわっていないので、見た目と機能だけで考えるならこの機種しかない。

 ただひとつ気になるとすればメーカー名くらいか。安っぽいイメージがつきまとうメーカーロゴを消してしまいたいくらい(笑)

CD/MDレシーバー:SANYO CDF-MS11(K)

 カーナビ、ビーコン、オーディオ、この3点セットが同じ店で買えるなら送料がムダにならない。価格comに載っていた格安通販店を探すと見つかった。
カー用品卸問屋 ニューフロンテア

 価格comに載っている業者には、Webだけ見るとアヤシイ感じがする業者が多い中、このニューフロンテアはかなり信頼できそうな業者のような気がした。

 という長い道のりを経て、この通販店に注文した。
 ほぼ希望通りの金額で全部そろえることができた。

カーナビ:SONY NVX-G6500/B
96,000
ビーコン:SONY NVA-VB4
16,400
CD/MDレシーバー:SANYO CDF-MS11(K)  
33,800
消費税
7,310
送料
500
合計
154,010


 10/14(火)に注文し、「10/17(金)に入荷予定」と注文通知メールにあったのだが金曜の昼間に届けられ、すばやさに驚いた。もちろん昼間は仕事で不在のため受け取ることができなかったが、どうしても週末前に受け取りたくて宅配した担当者に頼んでその夜に届けてもらった。

 さっそく週末に、取り付け作業に取りかかりたかったのだ。

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思いのほか小さなダンボール箱が1つだけ。

これに全部入っているのか不安になった。
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中身を出すと確かに箱は3つなのでこれで全部らしい。

カーナビの箱ってこんなに小さいのか!

置き場所がなかったのでアパートの廊下に出して撮影したが、さすがに夜は部屋の中に入れた。


 そして、翌日の土曜は雨。天気が悪いうえに寒い。外での作業はさっぱりヤル気が出なかったが、なんとか少しぐらいはイジることにした。

 まずは撤去。この車を中古車として購入した時に前オーナーが付けていてそのままだった液晶テレビとテレビチューナーとダイバーシティーアンテナのセット。

 今までほとんど使わずにいたもの。付けたままでもカーナビに支障はないが、邪魔なのでとにかくこれらを取り外す必要があった。

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助手席側に両面テープで取り付けられていた液晶モニター。

前オーナーも取り付け場所に悩んだ結果ここの場所を選んだのだろう。
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ルーフバーに隠れるように付けられていたダイバーシティアンテナ。

アンテナを伸ばす時に車外に出ることなく、サンルーフから手を伸ばせば届く位置にあるのは好都合だった。

しかし、しっかりと両面テープで固定されているため、取り外せない。
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チューナーボックスはグローブボックス下のカーペット裏に隠してあった。

固定もされず、ただ置いてあるだけ。

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配線をむしり取り、アンテナは土台を残して上だけ外し、とりあえずまとめてみた。

このセットをどうしようかと思ったが、どうにもならないので後回し。

ただ、このチューナーが使用していたアース線とACC電源線の取り出し口の場所が参考になった。
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次はオーディオ。

この配線は全部自分でやっているので今ではもう簡単。CD/MDレシーバーを仮組みして動作確認。音は出たしCDもMDも動いて問題なし。

だが、カーナビもここのオーディオ配線を一部使うので、この“内臓出てます”状態のまま、今日は終わり。


 非常に中途半端な状態のままだが、暗いし寒いし雨に濡れてカゼひきそうだったので、ヤメにした。

 翌日曜は晴れた。せっかくの天気なのに早起きできず。11時過ぎから作業スタート。

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ダイバーシティアンテナの土台。両面テープが剥がれないので、取り外せない。

う〜ん、仕方ないからこれはこのまま。
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車内からダイバーシティアンテナへつながっていたアンテナ線を固定していた樹脂のパイプ。

これもとりあえずこのままで。外したら汚い部分が丸出しになって洗車もしないといけないので、次回へ先送り。
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カーナビの箱の中身を出してみた。

配線がうじゃうじゃ出てきた。これを接続するだけで大変だ。どっから手をつけていいのやら。

ちょっと萎え。

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まずはこの状況をどうにかすることにした。

これではあまりに見苦し過ぎて、運転できない。
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前のMDレシーバーを取り付ける際に購入した取り付けキットにあった金属の枠組み。

1DINスペースにオーディオ本体を固定するための枠になる。

これはこのまま使用できる。

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レシーバー本体の側面に付ける金属プレート。これも取り付けキットにあった。

これがあるせいで枠に固定される。

ネジはレシーバーに同梱されていた。
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1DINスペースの奥をのぞいた図。奥に丸い穴が見える。

ここに固定ゴムが入ることで、レシーバー本体がより強固に固定される仕組み。

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固定ゴムというのがこれ。レシーバーの裏にネジ止めできるようになっていた。

この固定ゴムは純正のカセットデッキから、ネジは取り付けキットから。
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これがオーディオ配線のキモ。

レシーバー側のRR-(リア右スピーカーのマイナス)とRL-(リア左スピーカーのマイナス)の線を結合させてから、分離して車体側に結線させる。

不思議な配線方法だが、理由は覚えていない。確か、取り付けキットの配線図に書いてあったような。でもこれで問題なく、リアスピーカーから左右別々に音が出ている。

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固定ゴムが奥の穴に入るよう考慮しつつ、配線を奥へ奥へと押し込みながら、レシーバーを枠へ入れる。

配線がじゃまで入らなかったり、前後の位置がうまく固定できずに入り過ぎたりして難しい。
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金属の枠を見えなくするための黒い樹脂の枠をカチッとハメればできあがり。

この黒い枠は取り付けキットに同梱されていて、前のMDレシーバーでも使っていた

レシーバーの黒いパネルが、内装の黒い感じと合っていると思う。
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電源ONにした状態。

液晶の照明が思っていたよりも黄色に近いのが残念。もっと赤っぽいオレンジ(アンバー)のほうが良かった。

前のMDレシーバーのように液晶パネル内に赤いシートを滑り込ませて、赤色化することも検討中。


 とりあえず、オーディオ換装は完成。

 続いてカーナビ。どこから手を付けるか悩んだが、まずは配線を試してナビが動くかどうかのテストをすることにした。ナビ本体が初期不良品だったら返品交換しないといけないので、まずは動くかどうか。

 固定場所や配線の見た目のための処理などは後回しにすることにした。

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まずはこれ。車速センサー(車速パルス信号)の取り出し。

SONYフィッティングページにあったマニュアルによると、メーターパネルの裏あたりにあるらしい。

どこなのかワカランけど、まずは中を開けて確認。
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メーターパネルを外す。パネル内の照明交換で何度もやっているから慣れてはいるが、それでも難しい。

微妙な角度でないと外れないし、コネクタが邪魔。コネクタを外すには裏からじゃないと見えにくいし、コネクタ自体も外れにくい。

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この青いコネクタのうち、茶色と赤色の線を探すと、この線らしい。

これが違う線だったとしても確認のしようがない。ぜひこの線で合っているよう期待。

線が短かったので、配線コネクター(パチンとやって分岐するやつ)で分岐させたが、本当はギボシ端子で分配させたほうが接触不良が起きにくい。

以前、配線コネクターでの分岐で接触不良を起こしたことがある。


 カーナビの取付説明書を見ると、チューナーボックスにはACC電源線をつなげばいいが、ナビ本体にはACCだけでなく常時電源線も必要とあった。

 そういえば、前にWebでカーナビのことを調べていたときに、常時電源線はバッテリから直接取ったほうが安定動作するとの記述があったような記憶がある。そこでカーナビ用の常時電源線はバッテリから直接つなぐことに決めた。

 バッテリからのプラス線を直接つなぐことを「バッ直」というらしい。もちろん途中に機器保護用のヒューズを入れるので直接つなぐだけではないが、他の機器と電源線を共有したり混在したりしないという意味なのだと思う。

 高級オーディオやハイパワーアンプなどは強力な電流を安定して供給させる必要があり、他の機器からのノイズの混入をふせぐために、バッ直が当たり前らしい。

 以前、社外品のフォグランプを取り付けた時はリレー経由でバッ直にした。そのフォグの配線はほとんどがエンジンルーム内で完結していたから、バッテリにつないでも導線に困らなかった。

 しかし今回はバッテリから車内へと電源線を導き入れる必要がある。つまりエンジンルームから車内へと線を引き込む場所を見つけなくてはならない。

 フォグランプのスイッチ線を引き込んだ時は細い線だったので、ボンネットやフロントドアのヒンジ部分の隙間から車内へ引き込んだ。しかし今回は直接バッテリにつながっている電源線なので、乱暴なことはできない。

 エンジンルームから車内へと導くための穴はどこかにないものかとエンジンルームに頭を突っ込んで見てまわったが、適当な場所が見つからない。いい加減な場所に穴を開けてしまったら、雨が漏れ入ってきたり、エンジンルームの熱や臭いが車内に入り込んでしまう。

 ふと、配管の隙間にゴムのプレートを見つけた。卵型のプレートだった。そのプレートには何もつながっておらず、何かのフタのような感じだった。このプレートに穴が開けられれば車内への通り道になるかもしれない。

 プレートに穴を開けようと細いドライバでグリグリやっていたら、プレートが奥へ落ちてしまった。ところが、そこにはポッカリと明るい穴。明るいということは車内につながっている穴なのだ!

 車内側から見てみると、確かにその穴が見えた。落ちたプレートも車内側にあった。この穴がエンジンルームと車内を結ぶサービスホールだったのかもしれない。偶然にも見つけてしまったのだ。

 あとはもう簡単。ゴムのプレートにカッターナイフなどで穴を開けて、コルゲートチューブを通し、プレートを元の穴に戻せばトンネルができあがる。なのだが、プレートはうまく穴にハマらない。手がとどきにくい場所なので何度も腕がツりそうになった。

 プレートが穴に収まると、エンジンルームと車内を結ぶコルゲートチューブのトンネルができあがった。あとはこのチューブ内に電源線を通せばいいだけ。ついでに以前のフォグのスイッチ線もこのトンネルを通して車内に引き込むことにした。

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エンジンルーム内を探していて思い出した。

助手席側のワイパーアームの下あたりにエアコンのフィルターがある、と以前、掲示板に書かれてあった。

カバーを外して見てみると、今まで一度も掃除していなかったフィルターは見事にゴミだらけになっていた。
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フィルターのゴミを取り除き、ほこりを落とすために地面に叩きつけていたら、側面が割れてしまった。

こんな状態でもケースに戻すことができたので、 たぶん大丈夫なのだと思う。
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卵型の穴にゴムプレートがハマっていた穴。プレートが車内側に落ちてくれて良かった。

エンジンルーム内の中心から少しブレーキフルードタンク側にある。

この穴から車内へバッ直のプラス線を導くことにした。
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車内から覗いてみると、おお!
確かにエンジンルームまで穴が開いていた。

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この穴の車内側の場所は、ステアリングレバー?(ハンドルから伸びているバー)の斜め上にある。

運転席の足元から奥を覗くには、這いつくばって体をねじって見上げる必要があって、かなり無理な体勢なので、筋を痛めたりしないよう注意しましょう(笑)
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卵型のゴムプレートにコルゲートチューブを通した状態。

穴の開け方がかなり雑になってしまった。

でも、もうやってしまったものは仕方ない♪

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ゴムプレートをエンジンルームの穴に戻した。このプレートがなかなかハマらず、かなり苦労した。

コルゲートチューブがトンネルになって、この中に電源線を通してできあがり。


 行き掛かり上、このチューブの中にあとから電源線を通すことになったのだが、これがなかなか大変な作業だった。数十cmのチューブとはいってもクネクネと曲がっているため、電源線が入っていかないのだ。金属ワイヤーとかあればスムーズに線を通すことができただろうが、そんなものはない。

 とにかく、途中でチューブの割れ目から押し込んだりしながら、バッテリからの電源線とフォグのスイッチ線の2本を無理やり車内側まで届かせた。

 コルゲートチューブは長めにしておいたから、エンジンルーム内で熱くなる部分を避けるようにして、タイラップで固定して完了。


 次はアクセサリー(ACC)電源線。

 これは車内から取り出せるので、場所さえ分かれば簡単。


 ACCの話。

 ちなみに、このタイプのAudiには厳密な意味でのACCポジションが、キーシリンダーに存在しない。キーシリンダー部分にACCの表記もなければ、それらしい位置でキーが止まったりもしない。

 ACCポジションとは、エンジンをかけていない状態でオーディオなどがONになるキー位置のこと。ACCとはアクセサリー電源のことで、さらに、エンジンがかかっていないけど電源がONになるプラス線をACC電源といわれている。

   日本車の場合 : LOCK?→OFF→ACC→ON

 この車にはACCがないとはいえ、キーをひねってエンジンがかかる前に特定の電源がONになる微妙なキー位置がある。「ACC相当」とでも呼ぼうか。

   Audi B3/B4の場合 : OFF→(ACC)→ON

 オーディオやカーナビなどにはACC電源をつなぐ必要がある。日本車でいうACCポジションで電源がONになる電源線をつなげなさい、という意味だ。この車で実現させるにはACCに相当する働きを持つ電源線を見つけなければならない。

 日本車の場合は、オーディオ裏の配線の中にACC電源線が用意されていて、そこにつなぐだけでOKと簡単になっている。しかしこの車にはそんな便利なものは用意されていないので、自分で探す必要がある。

 膨大な車の配線の中から「ACC電源相当線」すなわち上記の(ACC)位置で通電されるプラス線を見つけ出すのは至難の業だ。

 しかし運良く、この車にはテレビが付いていた。そのチューナーボックスにつながっていた電源線がどうもACC電源と同じ働きの場所につながっていたようだった。

 そこはまさしくキーシリンダーの線だった。キーシリンダーの裏側にある線の束のひとつから分配してあったのだ。試しに、検電テスターを刺してキーを(ACC)の位置に回してみると、見事にテスターが点灯した。念のため、同じ束の他の線に刺して試したが、やはりこの線だけだった。

 というわけで、労せず「ACC電源相当線」を見つけることができた。

 もしこのページを見てACC電源を取り出そうと考えている方がいたら、この場所はオススメ。比較的作業しやすい場所かと思う。


 ・・・なのだが、この場所から取ったACCにいろんな機器をつないでいくのは電力容量的?に危険ではないかという気がしている。MDレシーバーくらいだけならいいだろうが、カーナビ、チューナーボックス、さらに自分の場合はAC/DCインバーターまでこのACCを利用している。もしかしたらキーシリンダー裏では火花がバチバチ飛びまくって、かなりの高温になっているかもしれない。

 そう考えると、バッ直の線にリレーを付けてACCのスイッチで通電させる仕組みに変えたほうがいいような気がする。たしかパイオニアかどこかのメーカーからそういう機能を持たせた配線キットが発売されていた記憶がある。

 調べてみたら、カロッツェリア「RD−221」。電源配線キットという名称だった。配線図などはこちらのページが参考になる。

 そのうち、変更しよう。

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ハンドル下の物入れ一体のプレートを外す。4ヶ所のボルトネジが外すだけなので簡単。

下から覗くと、ちょうどキーシリンダーの裏側に紫色のコネクターが見える。そこにつながっている配線の束から黒い線を探す。

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黒い線は2本あって、ハンドル寄りの線がACC線。念のため検電テスターでチェックしたほうがいい。

ここの線も短くてギボシ端子の分配ができないので、配線コネクターを使って分岐させた。

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さらに、アースは助手席側のこの場所のネジから。

本当は運転席のほうから取りたかったのだが、適当な場所を探すのが面倒になり、前のチューナーにつながっていたアースポイントをそのまま使うことにした。


 ここまでの作業により、車速パルス線、常時接続電源線、ACC電源線、アース線が揃った。

 この状態で仮配線してナビの機器を仮組みすることにした。

 線を接続し、車のキーをひねると「ポーン」と気の抜けた音がしてナビが起動しはじめた。成功らしい。

 画面に「ディスクを挿入してください」とのメッセージ。そうかDVDロムをいれなきゃ。DVDスロットに入れると、地図が表示された。

 カーナビの取付説明書を見ると、メニューの中にある「接続情報」で接続機器の確認ができるらしい。見てみると、車速パルスもビーコンもOKのようだった。念のため、こんな車内の状態にもかかわらず、車を前後に少しだけ動かしてみると、車速パルスが感応して速度表示が変化した。これで安心。

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仮組みなので、全部むき出し状態のまま。

モニターはダッシュ上に置いただけ。チューナーボックスとナビ本体は助手席シートに置いただけ。

ダイバーシティアンテナも伸ばして置いただけ。
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接続情報はOK!
と思ったらバックセンサーを忘れていた。

車速パルスは実際に車を動かして確認した。

右側はGPSアンテナが捕捉している衛星の数を表しているらしい。


 「接続情報」の表示を見て、一ヶ所配線し忘れていたことが判明した。「バックセンサー」をつないでいないのだ。

 バックセンサーをつないで、今この車が後ろの方向に走行しているとナビに教えないと、誤差が生じるらしい。たいした誤差ではないしすぐに修正されるのでバックセンサーにはつながない人もいるようだった。

 でも自分の場合は山奥の細い道で行き止まりになったりして、前進とバックを繰り返すこともあるわけで、そんな時でもより正確に現在地が把握できていたほうがいいはずだ。

 しかし、バックセンサーはバックランプ(ギアをRに入れると点灯するトランク周辺にあるランプ)の基板あたりから取ることが一般的らしく、そうすると接続する線を車の一番うしろまで引っ張っていかなくてはいけない。そんな導線作業は面倒だ。

 なんとかして、運転席か助手席まわりで見つけたかった。ギアをRに入れた際にはメーターパネルのATシフトインジケーターの表示が変わるわけだから、必ず運転席からリア方向に配線があるはず。最低でもATシフトレバーから配線がなければおかしい。

 車内のあちこちの線に検電テスターを突き刺してチェックしていくのは気が遠くなる作業だ。しかしなんとなくアヤシイ線があった。アースを取った場所のすぐ近くに配線の束があって、助手席側ドアの下を通ってリア方向に向かっていた。もしかしたらこの線がリアのランプ類につながっているのかもしれない。

 SONYフィッティングのマニュアルによると、バックランプ信号線の色は「青/赤」または「青/茶」らしい。

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マニュアルを信じて、この色の線を探した。

実は「たぶんこれだろう」という線の検討をつけてあったのだが。

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アヤシイ線の束から「青/赤」の線が見つかった!

これはかなり期待できる!

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ギアをRに入れて・・・


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検電テスターを突き刺すと、見事に点灯した!

もちろんRにする前は点灯しなかった。

やっぱりこれがバックセンサー線だったのだ。

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バックセンサー線にナビ本体からの線をギボシ端子で分配接続し、ギアをRに入れてから、ナビの「接続情報」を見ると…。

「バックセンサー ON」になった。

これですべての機器の配線が成功して、初期不良もなさそう。


 実はバックセンサー線は検討がついていた。アース線の接続をする時に、この線の束が気になってよく見てみると、過去にいじったような跡がある線だったのだ。

 たぶん前オーナーが何かの機器でバックセンサーを必要になり、この線をどうにかしようとしたのだろう。

 マニュアルにある通りの色だったから、さらに確信が持てたのだった。


 とりあえず、動作確認ができたので今日はここまで。もう暗いし寒いし、なにより疲れた。

 残りの作業は、各機器の設置・固定と配線隠し。やっかいなのはモニターをなんとかして固定させることと、ダイバーシティアンテナを固定してそのアンテナ線をうまく隠すこと。

 だんだん面倒になってきたが、今のままの状態では車の運転すら満足にできないので、やるしかない。

【続きへ】



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